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ネットゼロウォーター(ZWB)について考える

     

ネットゼロウォーターとは?

ネットゼロウォーター(ZWB)という言葉を最近、知った。
言葉の定義としては、『雨水や建物で使った水を再利用し、建物内の水の収支をゼロにする』システムや考え方を示すようである。
世界的な水問題が顕在化する中、アメリカを中心に建築物や敷地内での水の収支を概ねゼロとするネットゼロウォータービル(以下ZWB)の必要性が指摘され、我が国でも水資源自立循環型の建築への機運が高まっている。
水道インフラへの依存度を減らし、水資源の自立循環型システムを導入して行く事は、サスティナブルな世界を目指して行く上でも、災害に強い生活を手に入れて行く上でも今後重要視される思われる。

   


   

ZEB(ゼブ)とZWB(?)

ZEB(ゼロエネルギービル)は我が国でも積極的な取り組みが行われている所ではあるが、ZEBは「ゼブ」と発音できるので、呼びやすい。
しかし、、ZWB(ネットゼロウォータービル)はどのように読んだらいいのか?

関係者でも話題になっているようだが、呼びやすい名称が落ち着いてほしいものだ。

   


         

ZWBで大切な雨水利用や排水の再利用

ZWBの構築には、

❶雨水(Rain)❷排水の再利用(Reuse)が欠かせない。

❶雨水(Rain)の活用

雨水は「天の恵み」、活用する事が地球環境にとって望ましいのは言うまでもなく、有難く活用するのがサスティナブルな方向性だろう。
都市部では大雨の際の水被害の軽減、地下水を涵養する役割も期待できる。

雨水は地表から蒸発した水蒸気が落ちてきたものなので、雨自体には不純物がほぼ無く、真水に近いため、建築物で活用する水として適しているが、大気中の汚れ、屋根面の汚れなどにより不純物を含んでしまうので、雨水の利用には多少工夫が求められる。

また、雨水利用は天候次第の要素がネックであり、少雨の際は、ZWBの定義を逸脱する可能性もある。
ZWBの定義で建築物を運営するには、排水の再利用が欠かせない。

     

❷排水の再利用

建築物では人の生活に伴って排水が発生するが、通常は下水道に接続、もしくは浄化槽に接続して適切に処理し、処理水は再利用を行う事なく、公共用水域(河川など)に放流している。
この放流水は河川などへの放流を前提としており、BODで15~20mg/㍑程度まで処理して放流するが、排水を再利用する場合は、BOD 10mg/㍑以下の高度処理が必要となる。
再利用の用途としてはトイレの洗浄水が主となり、オフィスビルなどではトイレ汚水の比率が高いので、トイレの洗浄水に雨水もしくは排水の再利用水を活用する事はZWBの観点では効果が大きい。

    


        

災害にも強い、ネットゼロウォーター

2024年1月1日に発生した能登地震は我が国において大きなインパクトを与えた。
行政や個人においても防災意識の高まりに繋がっていると感じる。

言うまでもなく、災害時に被災者を一番苦しめるのはトイレ問題である。
「災害関連死」と言うとても悲しい言葉も誕生し、被災地のトイレ問題は喫緊の課題であるのは言うまでもない。

被災時であってもトイレを我慢できる限度は6時間程度と想定され、それほどの短期間に非常時のトイレ設備などが完備できるものなのか、著者は疑問を持っている。
やはり災害時のみ運用する仕様ではなく、常時も非常時も活用できる「防災トイレ」のシステムがシステムが部分的でもいいので補完されている事が望ましいのではないかと感じている。

都市部ではマンホールトイレなどが一般的に検討されているようであるが、女性でなくてもプライバシー問題や、衛生的な観点については気になる所である。

水道インフラへの依存度が低いZWBの概念はすなわち、災害時の水問題において威力を発揮することを意味しており、暮らしの安心感、衛生確保による健康問題への貢献は大きいと思われる。

    


       

雨水利用システム(アメリオ)のご紹介

ここで、ZWBの実現に向けての具体策である雨水利用について、雨水貯水・活用システム(アメリオ)をご紹介する。

雨水貯水・活用システム(アメリオ)概要図

前述の通り、雨水は大気中や屋根面の汚れを連れてくるので、雨水を貯水するだけだと、水の腐敗や臭いの発生が懸念される。そこでアメリオでは雨水浄化装置を併設し、雨水貯留槽の水を循環・浄化する事で水道水質並みの水を貯水でき、活用が可能なシステムである。

雨水貯水 実験結果

(左の写真は、貯め置きなので水質が劣化ぎみ、右の写真は浄化装置により水質が保持されている)

 水道水質を目安とする場合、「色度」と「濁度」が評価の指標となるが、左のグラフ(紺色)は「ためおき」を示し、右のグラフ(青)は浄化装置で水質維持を行っている結果であり、水道水質基準の色度5以下、濁度2以下を満足している。

雨水原水と1週間後の水質

殺菌装置を併設する事で、雨水活用ガイドラインに示す『整雨レベルⅣ』、『制菌レベルA』の水質が維持でき、シャワー、手洗いなど生活用水への利用が可能である(飲用は原則お勧めしていない)。

雨水の使い方と水質調整イメージ

      


     

排水処理(トイレ)のご紹介(ソフィール)

ZWBの定義を満足するのは雨水利用以外に、排水の再利用が必要であることは前述の通りであるが、
トイレ汚水のみターゲットとして再利用システムを構築する場合は、下記に示す土壌微生物膜浄化槽(ソフィール)が適している。

土壌微生物膜浄化槽(ソフィール)の概要図)

ソフィールの処理水を下記に示した。
上の写真はソフィールの処理水(中央)と原水、蒸留水を比較。
下の写真はトイレへの洗浄水の利用状況である。快適な処理レベルが常時維持され、災害時にもその衛生状況は維持される。

原水と処理水、蒸留水との比較
トイレ洗浄水へ再利用

災害時のトイレストレスを軽減するためには、有効な選択である。

      


     

下水道のエリアでも浄化槽が設置可能に!

過去、下水道が供用されているエリアで浄化槽を設置、運営する事は出来なかったが、近年、防災を目的とした施設に限って、「下水道のエリアにおいても浄化槽が設置できる」ようにルールが改正された。
(国住指第4338号 平成29年3月23日 「災害時に設ける合併処理浄化槽等の建築基準法上の取扱いについて(国土交通省住宅局建築指導課長)
 この通知により災害時に一時避難が必要な公園や公共の集会場や体育館などの避難所にソフィールなどの浄化槽を導入できるようになった。
 ソフィールは、処理水をトイレ洗浄水に再利用できるので、常時も非常時の活用可能であり、余剰な処理水は下水道に接続して処理する事で、防災機能として共存する。
 前述した雨水利用システム(アメリオ)を併設すれば、断水時の手洗いや雑用水として給水機能を確保でき、個別インフラとして機能する。停電対策は別途、太陽光発電・蓄電システムや発電機などが必要。
 
 震災だけでなく、異常気象による種々の災害(大雨、台風、少雨、寒波、熱波)への懸念も増える一方であり、既存インフラの利用料金の高騰などの要素も加わり、既存インフラへの依存度を下げる方向の、ZWBの普及が今後も進んで行くように思われる。

     


       

参照文献

NPO給排水設備研究会

「給排水設備研究」(特集:ゼロウォーター・Ⅰ)

ネット・ゼロ・ウォーター・ビルの普及と展望(大塚 雅之)

    


      

参照商品

ソフィール(環境保全型水洗トイレ)特設サイト
https://www.alcoinc.co.jp/sofil/
ソフィールについて詳しく
https://www.alcoinc.co.jp/mizu/sofil/
アメリオについて詳しく
https://www.alcoinc.co.jp/mizu/amelio/
ミニソフィについて詳しく
https://www.alcoinc.co.jp/mizu/minisofi/

 

A.Nishiyama

長年積み上げた技術力と真摯な取り組みをモットーに、水環境事業の問題解決で社会貢献! (技術士(上下水道部門)、1級土木施工管理技士、1級管工事施工監理技師など)

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